2年ぶりの北の大地 最初は一人で始めます
北の大地 ちぃにぃ編
9/18 一日目 出発
9/19 二日目 最初は雨のち快晴
9/20 三日目 そんなに走って大丈夫?
9/21 四日目 林道大好き
9/22 五日目 温泉大好き
9/23 六日目 晴れている場所を探して
9/24 七日目 美味しい物を求めて
9/25 八日目 もう最後なんだぁー
9/26 最終日 社会復帰へ
北の国から風に(笑)

BGM♪ターラータラタラターララ
背景 どこまでも続く丘、冬の吹雪の中じっと耐えている木々とキタキツネたち、紅葉に染まる山々
BGM♪ターラータラタラターララ

現実に戻り、もう14時近い。バルルルルーン。バイクを店の前に止める一人のライダー
ちぃにぃ−メットを脱ぎのれんをくぐり、引き戸を開ける
ガラガラガラ
ちぃにぃ 「こんにちは、やってます」
主人はくわえたばこで、カウンターに座って新聞を読んでいる
トントントントン、店の女房が夜の仕込みをしている
主人 「いらっしゃっ」(最後の「ぃ」はほとんど聞こえない位に)
ちぃにぃ 「お昼もらえます」
主人 「いいよ。おい○子、メニュー持ってきな」
○子、上目遣いにちぃにぃ見て、傍らに置いているメニューを無言で差し出す
ちぃにぃ 「ありがとうございます。うーん 大もりにゴボウ天をお願いできます」
主人 「あいよ」
主人は新聞をたたみ、たばこを灰皿にこすりつけて、よっこらしょと立ち上がり厨房へ入っていく
○子の表情が少し緩み、「はい」と返事をする

ご飯を食べながら店の奥を見ると○子がたばこをくわえて、窓の外を見ながら一休みしている
主人 「兄ちゃん、どこから来たの?」
ちぃにぃ 「茨城です」
主人 「どこに泊まっているんだい」
ちぃにぃ 「航空公園でテント張ってます」
主人 「もうこっちは寒いだろう」
ちぃにぃ 「バイクは結構厚着なので、それほどでも」
・・・
色々と話をする内に、主人もだいぶほぐれてくる
主人 「このあたりはとっても寒いんだよ」
ちぃにぃ 「へぇー、どの位冷えるんですか」
主人 「そうさなぁー、寒いと30度くらいかな」
ちぃにぃ 「雪も結構ふるんですか」
主人 「いやぁー腰あたりくらいまで積もればってところだね」
主人はしみじみと
主人 「ワシは、もう30年もこの商売をここの土地でやっているがね」
主人 「こっちではさ、
寒さと友達にならないと生活できないないんだよ」

ちょっと重たい一言だった。
我らは、夏のひととき、この地方の一番すばらしい時期を選んで遊びに来ている。
でも彼らは実際の生活の厳しさを悪びれもせず、ごくごく普通のこととして話しをしてくれている。
彼らは、夏のひとときを満喫するためにここの土地に来ている我らの様な輩のことも良く分かっている様で、色々と親切にしてくれる。

難しいことは抜き、哲学も抜き、現実も抜き、
ほんの一瞬を楽しむため、その土地の良さを肌で感じるため、そんな北の大地の旅にしたいと思って、三度この土地に来た。

厳しいからこそ、ほんの一瞬の輝きのすばらしさが増すことがある。
それを体感する旅の物語のはじまりまじまり