2003.8.20−24 恐怖の大キレットへの道 その1
      
8月19日 移動日
今回の山行きは我が家にとって大イベントでした。
そもそも山に登り始めたきっかけは冬スキーをするための基礎体力をつけたいことと、地下鉄のポスターに槍ヶ岳の穂先への大渋滞の写真があり「行きたい」と何気なく思ったこと。
それまで山の経験は遠足程度でしかないので、装備からコース選択、そもそも山登りとは何かと、独学で試行錯誤を繰り返してきました。
山登りを始めて最初にアルプスに行ったのが「表銀座から槍ヶ岳」で、この時は何もわからず、今思い返しても無茶な行程だったなぁとしみじみ思い出す。
その山行きの最中に槍ヶ岳山荘の談話室で壮年の夫婦が奥穂高から大キレットを越えてここまで来たと、とても自慢気に話をしていたのを「ふーん」と何気なく聞いていました。
それから数年が経過し、多少なりとも山にも登り、テント泊での山行きも少しずつこなし、山への憧れも増してきて初めての穂高へと。
その時は涸沢にテントを置き、北穂高から奥穂高へ縦走しました。(詳しくはこちらへ初めての穂高連峰<ここをクリック>)その時北穂高小屋で大キレットを越えてきた夫婦とお話する機会があり、奥穂高まで行く途中でまた少し話をし、
「大キレット」という言葉が余り無関係なものでは無くなりました。
それからまた数年がたち、今年の春頃から何とはなしに大キレットに行きたい!と思うように。何故そう思ったかは今でもよくわかりませんが、とにかく今年の夏は大キレットに行こうと思いました。(お陰で北海道のバイクは中止。でもけいこは一人で行ってしまった。詳しくはこちらで初めての北海道ソロツーリング<ここをクリック>
けいこには、大キレットのことはしばらく話をせず最近よく登る仲間たちと低山へと登っていました。っで、ある日「
今年の夏、大キレット行くよ。当然テントでね」と話をした時、けいこは「行けるかなぁ」と心配しつつも、どこか嬉しそうだったこともつい昨日の様に思い出します。(なんか回想録みたいになってきた(笑))
それから夏の本番へ向けての準備を少しずつ行い、ネットで大キレットの事を調べ、本を読み、自分なりのイメージを高めていきました。仲間達からの貴重なアドバイスも頂きどんどん実現へ向けて計画も整ってきました。
今年から(一部去年から)活用しだした「新兵器(大笑)<ここをクリック>」を試しながら、大キレットを完遂すること以上に
「断念することを躊躇しない」ことを基本に考えていました。
どんどん出発の日が近くなり、事前の練習山行きもこなし、忘れ物などが無い様に入念に準備を行い、いよいよ当日です。

今回の計画は4泊5日(実質3泊4日で予備日一日)
行程は
一日目:上高地−槍沢−ババ平
二日目:ババ平−槍ヶ岳(往復)−南岳小屋
三日目:南岳小屋−大キレット−北穂−穂高岳山荘
四日目:穂高岳山荘−奥穂−前穂−岳沢−小梨平(上高地)
五日目:小梨平(上高地)−帰宅
南岳では天気待ち一日の予定(雨の場合は撤退を覚悟していく)
です。
今年の山は常に雨かガスパノラマの連続。唯一直前の練習で登った唐松−五竜のみ晴れ。でも遠くの山の展望なし。おまけに寒い日の連続。
でも出かける直前から天気予報は晴れ!やったぁ。絶対に行けるぞ。でも不安もたくさん。でも山に行くのにこんなに
ワクワク、ドキドキすることは未だかつて無かった。
前日いつもの待ち合わせ場所でけいこと合流。夕食を取り、上高地への基地である沢渡へと向かう。
夜、沢渡に到着すると空には星が輝いている。お月様も輝いている。やった!晴れだぁ。
空いている駐車場に車を止め、当然の事ながらビールを飲み、仮眠を取る。明日はババ平までの軽い足慣らしなので朝はゆっくりできると思いつつも就寝。

8月20日 一日目  
朝起きると晴れ!普段の行いが良いのか、今までの雨とガスの困難に立ち向かってきた事に対する神様の思し召しか。いつも混雑する村営大駐車場もガラガラ。タクシーもパラパラ。バス停でバスを待つこと20分くらい。(いつもはもっと早くたくさん来るのに・・・)一路上高地へと向かう。
到着すると晴れ。気温も高い。これから明神、徳沢、横尾と平坦な道を歩き、何年かぶりの槍沢を目指す。
上高地の工事もほとんど終わっており、ビジターセンターとかが非常に綺麗になっていた。
ザックを背負って河童橋を目指す。ザックが重い・・・・
奥穂から前穂へと続く吊尾根を見て、よし行くぞと記念撮影を行い出発。
前日までの雨で梓川もいつもより水かさが多く、流れも急。カモたちの姿も見あたらない。
↑沢渡村営駐車場に綺麗なトイレが出来ていた
↓バス停前の新設案内所
←河童橋周辺で記念撮影→
いつもの様に単調な道を明神へと進む。途中野生の猿が何頭か前を横を通り過ぎていった。順調に歩を進め、徳沢へ。美味しい水を汲みさらに横尾へと向かう。
左手には明神岳、屏風岩がいい感じで見えている。遠くには蝶が岳、乗念岳の姿もチラホラ。
今回は全部テント泊の予定でいるけど、昼食は全部小屋の食堂で済ます予定。昼飯の分も荷物を背負うのは止めておいた。
横尾では、最初の昼食。ラーメンを取る。生ビールが美味しそうだけど我慢我慢。
↑明神岳をバックに
↑あの氷壁で有名な徳沢園前
↑明神岳と屏風岩
↑ここまで11kmで槍まで半分です
横尾での昼食→
↓焼岳です
↓吊尾根です
↓明神岳
明神岳↓
屏風岩↓
ここから先は本当に何年ぶりかの槍沢への道。
徐々に道が険しく(といってもたいしたことは無いが)なり、梓川の流れもゴーゴーと音を高く響かせてきた。
一ノ俣二ノ俣の吊り橋を越え、槍沢ロッジに到着。
ここからテント場まで約30分標高差200m位なので、早速生ビールを飲むことに。でも二人で一杯と遠慮がちに。
←槍沢ロッジの水力発電
↑トリカブトが沢山咲いていた
↓常に飲んでます↓
以前(といっても何時の事やら知りませんが)槍沢ロッジはテント場(ババ平)にあったそうですが、あまりにも雪崩にやられたので下に降りてきているそうです。お陰でテントを張ってからの生は楽しめないのでしっかりビールをザックに詰め込み出発。当然持つのはちぃにぃの担当、飲むのはけいこの担当です(笑)。
やっと山らしくなった道をヘェヘェ言いながらも登ると約30分でババ平へ到着。
←本日最後の登り
ババ平の看板は石にペンキで書いていました→
夏休みでも平日という事なのでテントも2−3張り程度で静かな物でした。
早速テントを立てて、夕食の準備とビール。暑いくらいなのでテントの外にお店を広げて東鎌尾根を見ながら、のんびりとした夕食。でも上空には怪しげな雲がチラホラ。厭な予感が漂う。
そんなとき、ナップサックを背負った若い女性が登ってきた。ずいぶん軽装だなぁと思っているとやにわに岩室からハッピを取り出し、「集金でーす」とテントを訪ね回っていた。(テントの受付は槍沢ロッジで行いますが、行き過ぎた人、降りてきた人のために集金に来ている様です。)
我が家は既に受付を済ましていたので領収証を出すついでに、オヤジモードを発揮して記念撮影をお願いすると快くOK。ありがとうございます。
食事も済み、ビールも無くなり、する事も無いので早いけど眠り姫の教えを聞き入れ眠る事に。

雷鳥と命名?した鳩→
集金のお姉さん→
↑焼き肉とひじきと浅漬けの夕食
★☆★☆序章★☆★☆
←上高地の朝の気温です