2008.9.14-15 ジャン越え顛末 in 西穂高岳周辺
二日目出発前の深夜。
夜中10時頃に目が覚めます。部屋の中が非常に暑いのとトイレタイムです。少し体を冷やすために表に出てみると、テラスで食事をしている人テント内で宴会をしている人たちも見受けられます。場所が場所だけにそんなものかと思いつつも寝床に戻ってお休みなさい・・・なんだけどど、全然寝付けません
なんか
気が高ぶっているのか、部屋の中も非常に暑いし、少しウトウトするんだけど基本的には起きている感じ
まぁ明日が普通の山であれば起き出してしまうかもしれないけど、
明日は長丁場だし、寝なければと思うとますます寝付けないんだよね。
そんなこんなしている内に12時頃になってもう一度外に出てトイレを済ましてから、やっと少し眠りにつくことができました。


休憩中のこの顔が全てを物語っているよね

山頂からの風景を動画で
話は飛ぶけど、稜線を縦走しているときに一番危険なことは何かというと、天候の急変などを除けば、集中力の欠如だと思うんだよね。特に岩場などの危険な箇所を通過するときは、この集中力というのが非常に重要になるんだと思っている。
それこそ
足を踏み出す先の岩がどの様に動くかと言うことを足を踏み出す前にゼロコンマ何秒かの間に判断しながら、一歩一歩を進める感じ
危険な箇所はそれこそ命がかかっているから、逆に危険は少ないと思うので、その
危険な場所が過ぎた何でも無いような場所で、どれほど集中して歩くことができるのかということが、今回のような場所では命にかかわることになるのだと思う。
そんなことを10時間程も続けなければならないのにもかかわらず、
朝の出発する時間から逆算した時間に起きるというもっとも初歩的なことに対してきちんと対応できていないというのは一体どういうことなのか
下山報告を済ませ、飛騨牛コロッケを頂きながら車へ戻ります。
登山センターで下山届を提出して、今回のジャン越え途中中止の山行も無事終了です。

振り返るとこんな稜線が見えます。
西穂へと続く稜線だよ〜
←淡々と歩き続けます
引き続きダラダラとロープウエイの乗り口へと向かいながら二人とも無口なまま歩を進めます。
時々振り返ると西穂から槍ヶ岳へ続く稜線もよく見えます。
で、ロープウエイに乗り込み一気に下山です。


遠く乗鞍岳まで続くような稜線を下ります

←眼下に上高地の景色を見てしばし休憩です

本当ならば、ここでワクワクしてドキドキして、「さぁ行くぞぉー」と叫んでから出発するんだろうね。
しかし、ちぃにぃもけいこも
心の中では「行きたい」と思いつつも、「止めよう」とほぼ決心していたと思う。
とりあえず、用意してきた行動食をお腹に詰め込み少し小休止。

ここから先に足を踏み出した場合、残り7-8時間はほぼエスケープルートは無い道を、それこそ命の危険を感じながらの道を歩かなければならないんだよね。
ここで撮影した写真でもけいこは、元気が無いんだよね。
歩きながら「
どうした?」と聞くと「なんか気が乗らないんだ」とのこと。確かに見ていても元気無さそうだし、カメラを向けるといつもの笑顔が出てこなくて、何となく元気の無い笑顔だけなんだな。
ちぃにぃは「
どうする?止めるか?」と聞くと「でも、行きたいよね〜」と。

まぁとにかくどうであれ、
西穂高岳まで行くのであれば問題ないから、そこに行ってから判断することにしようと言うことにして歩き続けます。
本当は
こんな感じで歩くこと自体が危険なんだけど、流石にそこまで危険な程集中力とか体力が無いわけではないので西穂高岳へと向かって歩き続けます

←大きな岩をトラバース気味に通過です。
こんな感じの場所が続きます。
ちなみに右側は何百mも切れ落ちているんだよ

プラミッドピーク(P.P)から西穂岳へと続く稜線もガスが取れてきてよく見えてきます。
しかししかししかししかしなんか気が乗らないんだよね。なぜなんだろうか・・・
けいこも今一歩
いつもの岩場大好きお姉さんの本領が発揮されず、独標で撮影した写真の顔を何となく元気無さそうだし。
でも、
ここから先はそんなことを言っていられる様な場所ではないから、慎重に岩場を抜けていきます。
P.Pまで2回ほど上り下りを繰り返し、無事P.Pに到着。


南アルプス方面もよく見えます。

←独標から続く山脈が見えてきました。
一番右のちょっと台形っぽい岩の塊が独標ね

←西穂高岳までのルートではここから先が核心部です。
確か左から3つめが西穂高岳です

まず目指すは丸山です。毎回来るけど丸山という山がどれなのかと言うことがイマイチ解らないんだよね(笑)
歩き始めてしばらくすると前方が明るくなってきて、ガスも晴れてきます。でも風がそこそこあるのでカッパは着続けて登ります。
振り返ると遠く焼岳から乗鞍岳がきれいに見えてきます。
朝目覚ましと共に起き出したんだけど、なんかウダウダしていたんだ。で、この時点で4時過ぎ
あとから考えれば、
この時からなんかおかしかったんだよね。
元々の予定が独標で朝日を見ると言うことなので、山荘出発は4時頃のはずなんだよね。行程が10時間程かかるので奥穂山荘へは2時か3時頃に到着する時間になる予定なんだけど、目覚ましをセットした時間が4時だったんだな。
これはおかしすぎるよね。
自分で予定している時間と目覚ましにセットしている時間が一時間ほども違うんだ。
これは集中していないことの現れだ。

↑クリックしてみて

まぁ、でもそれはそれとして、準備を進めます。
山荘の外に出てみると
ガスがかかっています。でも空を見上げると月明かりの奥には星空が少し覗いているような感覚です。天気予報も回復傾向なので予定通りに出発です。一応寒さのこともあるのでカッパを来て行きます出発時間は5時です。予定より一時間遅く出発です。

夏山も終了だね

←自分達のためだけでないと思うので、下山届も出しましょう
飛騨牛ステーキの串焼きも
頂きました
気のせいか、飛騨牛コロッケに入っている牛肉が少なくなったような気がするんだよね
燃料高騰のおりってやつかね(笑)
←下りのロープウエイからは槍ヶ岳がくっきり見えましたよ〜
ロープウエイ山頂駅付近に咲いていたお花たちと水芭蕉の残骸です(笑)
←無事一般人の仲間入りです
↑アザミは本当に種類が多いのか、咲いている期間が長いです
↑小屋周辺はナナカマドの実が赤くなってました
P.Pを過ぎ、独標を過ぎればほぼ問題無い道。
ここからダラダラと西穂山荘へ戻り、大好きなビールも飲まずにそのまま下山です。
しかし、ここから西穂山荘へ戻る道は、一般登山道とはいえ、普通の縦走路と比較するとかなり危険な場所が続きます。気合いは入れませんが、集中力だけは欠かさずに歩き続けます

ここからは独標より下の部分です

しばらく縦走路の景色をお楽しみください


風が冷たいから手を擦りながら歩きます
西穂高岳の下りです

↑槍をバックに記念撮影ね その2

↑三角点がある場合は、、これは必須ね その2

↑三角点がある場合は、、これは必須ね

↑槍をバックに記念撮影ね

行くか戻るか・・・どうするか・・・
休むこと30分ほど、
どちらからともなく「戻るか」ということに決定です。

理由は「
気が乗らないから」です。

もの凄く立派な撤退の理由だと思っています

ここ数年、行きたくて行きたくて仕方なくて地図を見て、体力を作るなどの準備を重ねていた所で、
天候も良くて、一応体調的にもほぼ何も問題は無い状態

普通の状況であれば、このまま先へ足を踏み入れる所なんだろうけど、我が家の決断は中止(正確には延期かな)です。

時間と費用をかけ、日程を再三調整して着た結果の結論です。
もしかしたらこれほど天候に恵まれているのは非常に珍しいことなのかもしれません。
でも中止です。

後悔することなく中止を決めました。


槍ヶ岳まで続く稜線です。
あそこまで行きたくて行きたくて仕方ありません


奥穂へと続く稜線です。
ガスも無く、風もそれほど強くない、絶好のコンディションです


とりあえず記念撮影を済ませます

で、西穂山荘を出発してから2時間30分ほど、予定通りに西穂高岳山頂に到着。
ここからはそれこそ槍ヶ岳までの稜線が全て見えるほどの絶好の天候。
風もそこそこあるけど、こんな風は3000m級の稜線では当たり前の感じ。

↑大きな一枚岩っぽい感じだけど
足場はしっかりしているので安心です

↑西穂高岳への最後の登りです

↑P.Pから西穂高岳までは比較的危険は少ないです


独標から西穂高岳方面への最初の下りです。
ここを怖いと思うようであれば先へは進まないことですよ〜


一応ちぃにぃも記念撮影ね

↑独標に到着です。
予定通りの時間です

↑独標への登りです。

↑独標への登りです。
まぁそれほどたいしたことはありません。
全くの初心者には辛いと思うけどね

足下の花はほとんど咲いていないけど、ツメクサが少し咲いていたな。ガスもどんどん上がってきて、南アルプスから富士山もよく見えてきました。
天気は最高だね。約一時間程で無事独標に到着。ここから徐々にジャン越えの危険度が増していきます。

↑西穂周辺では、穂高が邪魔になって朝日が見えません。
真夏なら見えるのかな〜


いよいよ、長年の夢に向けて出発です


まだくらい小屋の喫茶室の中でお食事タイムです。


直前に少しだけ雨が降っていた感じ
まぁ通り雨というか、ガスの中というかって感じだったけどね

       


無事にピラミッドピークに到着です。
なんか元気無いよね
奥のとがった山が西穂だよ〜


乗鞍方面が焼けてます。
天気が良さそうな予感がします